ソフトウェア開発手法やその隣接分野と、いわゆる文系の学問について

いわゆる文系(人文、社会)の学問に対して、それが役に立つのかという批判がよくなされる。 自分もエンジニアとして就職した後、社会科学系の知識を直接仕事に活かせた経験が正直ない。

ところが最近、ソフトウェア開発の手法やその隣接分野の元ネタいくつか知って、意外な分野にいきつくことがわかった。

文系寄りの学部を卒業した身として痛感したのは、多少かじってたことがあっても、使いこなせるかっていうのは別だなということ。

デザイン思考と現象学

経験の拡大というプラクティスは、 エスノメソドロジーをベースにしている。

文化人類学者が自分とは異なる文化に暮らしている人を観察する時に感じるような違和感を追って我々の周りの日常の世界を見る見方は、エトムント・フッサールによって提唱された現象学によって始められ、その考え方は社会研究に応用された。 ナチスの時代にヨーロッパからアメリカに亡命したアルフレッド・シュッツが日常生活の構造を研究する現象学的社会学を始め、その弟子でアメリカの社会学者であるハロルド・ガーフィンケルが、それをエスノメソドロジーというフィールドワークの方法としてまとめた。本章で紹介するエスノメソドロジーをベースにしている。『デザイン思考の道具箱』

フッサールにシュッツにガーフィンケルである。 噛み砕いて書いてあるけど、我々の周りの日常の世界=生活世界ってことか。 学生の頃、竹田青嗣の入門書をずっと読んでいて、社会システム理論の現象学的なものの見方を理解しようとかやっていたけど、こっちに活かせていれば。。。と。

この前発売した『Joy.inc』という本にも「デジタル人類学者」という単語がでてくるし、Jim Coplien『組織パターン』にも人類学的基礎という章がある。

システム思考と一般システム理論、システムダイナミクス

入門本を読んだときか、ループ図書く研修に行った時かあいまいだが、そこでローマクラブの『成長の限界』がちょこっと紹介された。あとで気になって検索してみたら

簡単にいうと、システム・ダイナミクスのうちコンピューターを使用する複雑な数学の部分を省いた手法がシステム思考> です。システム思考では、もっとも基礎となるプロセスのみを活用しますが、システム・ダイナミクスでは、問題の構造> を正しく把握しているか、検討する解決策がどのような成果を出しうるかなどを確認するために、コンピューター・モデリングを用います。

www.change-agent.jp

源流をたどれば、ベルタランフィ『一般システム思考』にいきつくとのこと。 さらに、システム思考も、システム理論の発展を取り込んでいるらしく

また、その後、生物学者のフランシスコ・バレーラオートポイエーシス理論(理論そのものは70年代)なども取り入> れられてシステム理論(システム思考)は発展してきました。

ワールド・カフェのアニータ・ブラウンも著書の中で、バレーラに言及していました。

d.hatena.ne.jp

社会システムを対象にしていて、オートポイエーシスとか言い始めたら、ニコラス・ルーマンに言及しだすまで後一歩なのでは。。。

Scrumと野中郁次郎

開発者だと、いくつかのアジャイル開発手法(Scrum/XP/Kanban/Lean等)の元ネタの一つは、トヨタ生産方式や竹内/野中論文だというのはよく耳にする。 どうも社会科学の分野では、あまり伝わってないらしいと最近聞いた。 (野中先生自身も、知らなかったと書かれてたのを見た気がする。)

blogs.itmedia.co.jp

www.publickey1.jp